平成16年2月18日
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講演の概要は以下の4点となる。
1)構造物の個別被害調査から、都市生活の機能損傷評価へのパラダイムシフト
2)医療機能損傷評価を1事例として、機能損傷評価の重要性と考え方を評価
3)医療機能の過程のシミュレーションモデルの紹介
患者の選別−治療−転送の確率モデル
4)救急医療支援モデルとしての活用例
都市生活機能からみたリスクマネージメント
阪神・淡路大震災による個別の建物(運輸、ライフラインも含め)被害については詳細な調査がある。では、調査結果から被害の全体像が把握されているか。複合的被害といわれているが、どこまで相互関係が研究されているか、という点については不足である。
では、被害を総合的に理解するにはどうすれば良いか? そのためには、都市機能、特に生活の損傷を考えることが重要となる。
社会機能(生活スタイル)は時間とともに大きく変化する。50年後の生活が今のままとは考えにくい。地震被害の教訓を活かすには、時間軸を考慮することが大事。
病院での治療過程のモデル化
来院患者を症状に応じて、診療科に振り分ける。治療能力(窓口数)や治療に要する時間に応じて待ち患者の数が求められる。待ち時間がかかる場合には、他の病院への転送を考えることになる。シミュレーションでは、ある地域にある病院の診療モデルを作り、それぞれの病院の診療状況、患者の転送などのシミュレーションを行った。リアルタイムで各病院の情報を収集し、適切な判断ができる情報を提供できる。
このシミュレーションにより、事前対応策、基幹病院の選定、患者搬送システムとルートの検討などを確立できる。災害時だけでなく、平常時の救急医療にも役立つ。
現在、医療関係者などの協力を得ながら医療過程のリアルタイムシミュレーションを実用化すべく研究しているとのことでした。なお、参考文献(PDFファイル)を掲載していますので、こちらもご覧ください。
(文責:高山峯夫)
参考文献:都市の社会機構損傷評価に基づいた地震災害に対する次世代リスクマネージメント(PDF)
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