日 時:平成21年10月16日 16:00-18:00
会 場:日本大学駿河台キャンパス理工学部5号館 524会議室 講 師:幸田雅治先生(東京工業大学非常勤講師)
テーマ:地震対策における減災対策 -ソフト対策を中心に-
耐震・免制震構造、耐震補強法など建物の耐震性向上のための対策技術は発達してきている。構造技術の発達は震災の軽減に役立っているとはいえ、震災がまったく無くなった訳ではない。最近ではこれまで経験しなかった震災のタイプもでてきている。そのためハードな技術だけでなく、ソフト対策も重要となっている。
危機管理には、
被害抑止(mitigation):危機が起こらないようにし、起こった場合の影響を少なくする事前の対策
被害軽減(preparedness):危機が生じた場合を想定して、それに対処して悪影響を最小限にする態勢を準備しておくこと
応急対応(response):実際に危機が発生した際の対処行動
復旧(recovery):危機が発生した生じた被害を平常に復する活動
があり、それぞれに「公助」「共助」「自助」の各レベルでの対応が求められる。
「公助」「共助」「自助」は被害軽減のための3本柱といわれるが、被害者の救出は公助:共助:自助=1:2:7とのこと。自助が一番多いため、住民の防災意識をいかに高めるかが重要となる。自助と共助の中間に位置するのが「消防団」で地域防災の中核的存在であるが、消防団員数は減少しており、現在は約89万人。自主防災組織も組織されているが、住民参加(自分たちの地域は自分たちで守るという意識)をいかに高めるかが重要課題となっている。いま考えられるのは、防災教育で、自分の家や自分の地域に置き換えて考えてみるということが大事である。また防災訓練はいざというときには役立つ。
災害時には国(総務省消防庁)→都道府県→市町村→地域住民となって、指示や支援が行われるが、それぞれの役割や分担がうまく機能しないと危機管理がうまくいかない。災害・防災対策は縦割り行政になっている。建物の耐震化とまちづくりといったものとソフト対策において情報共有がはかられていないといった点、建築基準法と消防法の関係など。
ハードな対策だけでなく、ソフト対策とうまく組み合わせることで、効果的な災害対策ができる。ソフト対策とハード対策の連携がとれる仕組みが求められる
(文責:高山峯夫)